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世界の終わり。
2024年04月30日 (Tue)
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2009年05月21日 (Thu)

 名前を呼ばれるたびにどきどきした。
「青木さん」
 次は私の番なんじゃないかって、次のターゲットは私に回って来るんじゃないかって。
「ねえ、絵里子。聞いてる?」
 蛇に睨まれた蛙、というのはこういう状況なのだろうか。四面楚歌、とかそんな感じ。
「分かるよね?」
 目の前の女は胡散臭い笑みを浮かべて指をさす。始まり、だ。
 だから女子校なんて嫌だって言ったのに。皆と同じ公立中学校に行きたい、って何度も言ったのに。
「私立の方が安全なんだから」
 何が安全なの?お母さん。私、今、絶体絶命の危機に曝されてるっていうのに。
 目の前の女の言いなりになってしまう自分がひどく悲しい。閉ざされた教室。こもった笑い声。救世主はやって来ない。
「おいおい、青木は初めてなんだから手加減してやれよー」
 呑気過ぎる声が頭の上を通過する。学級崩壊。学校ぐるみのいじめってやつ?死んだ魚の目をした大人たち。
 うつむいたまま立ち上がると、がたん、と大きな音を立てて椅子が引っ繰り返った。勢い余って椅子を倒してしまったようだ。
「いったーい」
「青木超やる気じゃん」
「まじ何なのこいつ」
「ぎゃはははははははははははははっははははははははっは」
 教室の後部、ロッカーの前。誘導されるように私の前の道は拓かれている。にやにや気持ち悪い笑みを浮かべたクラスメイトの女たち。昨日まで、私もあそこに居たんだ。
「せーの」
 オイハギ。ってどういう漢字書くんだっけ?寒いよお母さん。私の制服返して。
「下着くらい上下揃えろよー」
「うっわこいつぼーぼーじゃん。毛の処理しろよー汚ねーなー」
 皆必死。次は自分の番かも知れないから。怖いのは皆一緒。一緒なんだよ。
「先生お願いしまーす」
 ネズミ色のスーツが近付いてくる。汚い顔。にやにやにやにや。今何時?学活の時間、だ。よね?
「青木は初めてかー?」
 かちゃかちゃかちゃ。先生そのベルト、合皮ですか?かちゃかちゃかちゃかちゃ。余計なことは考えない。思考を止めることが最善の方法だって知ってる。スイカみたいにでかい顔。突き出た腹。デブ。キモオタ。ロリコン。
 紺色のチェックのトランクス。盛り上がった下腹部。変態。変態。変態。
「くすくすくす」
「絵里子めっちゃびびってる」
「先生!絵里子はまだ処女なんで優しくしてあげてくださーい」
「きゃははははははははははは」
 あんただって初体験の相手はスイカだったくせに。それに私はもう処女ではないのだ。こんなスイカにヤラレルくらいなら売ってしまえ、って。高く買ってくれたよ、あそこの学校の校長先生は。
 開かれる私の内部。皆興味津々。これで何人目の犠牲者?ロリコン変態おたく教師が、死ね。
「んー?なんか濡れてるなー。青木は感じてるのか?変態だなー」
 ぐちゃぐちゃぐちゃ。荒々しく掻き混ぜられる私の内臓。卑しい目をしたスイカの太い指がずんずんずんずん、奥まで。
「よーし、皆ー、いいぞー」
 ぎらぎらぎら。皆私の中身を知りたくて仕方がない。でも、もうちょっと、優しく扱ってくれないかなあ?乳房がもげちゃいそうだよ。
「宮本ー、ちゃんと参加しないと次はお前の番だぞー」
 教室の端っこでびくびくと震えているのは誰?でもあの子はきっとターゲットにはされない。可愛くないもん。太ってるし。顔中ニキビだらけだし。ああ、私ももっと不細工な顔で生まれれば良かったのに。遺伝子のばかやろう。
「よし次ー」
 私の内部に入ってくる、冷たいナニカ。何だろう?あー、ポスカか。
「青木は処女のくせにガバガバじゃないか、二本も入ったぞー」
「先生ー!次はピンクがいー!」
「よし三本目いくかー」
 痛い。痛い。痛い。けどここで声を出したら負けだ。妙に負けず嫌いな私の性格と、サービス精神、が。
「青木絵里子は先生のおもちゃです。言え!」
 お決まりのセリフ。声が出ない。出すもんか。
「青木絵里子は先生のおもちゃです。言え!」
 頬に熱い衝撃。小さな手のひら。手加減無し。見開かれ強張った笑み。前回のターゲットだった春山さんだ。こないだまで教科書見せてくれてたけど、きっともう見せてくれないんだろうなあ。
「あおきえりこはせんせいのおもちゃです。早く!」
「あ、お、き、え、り、こ、は、先生のおもちゃです!はい!」
「アオキエリコハセンセイノオモチャデス」
 唇からこぼれ出たそれは勿論本心なんかじゃない。そんなのあなただって気付いているでしょう?
「よし、よく言った!皆、拍手!」
 嬉しくない喝采、笑い声。あー、このまま死んでしまえたら。てか皆死ね。
 唇に押し当てられる鉄のように熱い棒。鼻先をつく異臭。早く終わらせてしまいたかった。だから私はそれを飲み込んで。
 記憶なんて曖昧なものだが、確か四歳だった、ような。いとこのお兄ちゃんは十歳くらい年上で。初めて精液を飲んだ。その後おしっこも飲んだ。美味しくなかった。
 小学生の頃、母が再婚した。新しい父親は優しかった。一緒にお風呂に入ると、いつも優しく体を洗ってくれた。脚の間は、特に丁寧に。
 私の貴重な処女を捧げたあそこの学校の校長先生は、私を縛り上げ、何度も頬を殴った。何度も何度も、私の叫び声を耳にするたびにそこを膨らませて、無理やりねじ込んで射精した。でも一万円札を五枚もくれた。
 私が知っている男のそれはいつもはち切れんばかりに誇張していた。硬くて、熱くて、変な味がした。だからこんなのは慣れっこだ。いつも通りにしていれば、全て時間が解決してくれる。
「よーし、じゃあ入れてやるからなー」
 体を真っ二つに裂かれるような感覚。ってのはありきたり過ぎるか。ひりひりひり。ずんずんずん。はあはあはあはあはあはあはあはあはあ。
 閉じた瞼の上にぽたぽたと何かが落ちた。汗?デブだから汗かくのか、そうか。
「はあはあはあ、よし青木ー後ろ向け」
 私は黙って尻を突き出す。ぬらぬら、ぐちょぐちょ。痛い、痛い。
 不意に口元に何かが触れた。柔らかな唇。宮本さん、あなたはそこまでしなくてもターゲットにはならないから大丈夫だよ。
「おー宮本やるなあ、先生興奮して来たぞー」
 泣きそうな顔をしている。かわいそうに。宮本さん。あなたはきっと痩せれば可愛い。
 ずんずんずんずん。単調な動き、好奇の視線、冷たい床、内臓の痛み。
「あっ、はあっ、出る、青木、出るぞ!口開けろ!」
 生臭い液体。拍手喝采、再び。
「よーし、よくやったぞ青木!これでお前も立派な先生のおもちゃだ!後ちゃんと片しとけよー」
 ネズミ色のスーツが教室のドアを開け、去っていく。私は走り出す。全裸で。口から汚い体液を流しながら。
「うわああああああああああああああああああああああああああああああああ」
 投げたのは黒板消しクリーナーだった。見事にヒット。ネズミ色のスーツがピンク色の粉で染まる。私はそのままスイカに馬乗りになり、黒板消しクリーナーを振り落とす。ごっ、ごっ、ごっ。コンセントで首を絞める。スイカは咳こんでいる。やめろ、とか言っている。教室中に響き渡る悲鳴。誰の声が一番大きい?
 いつの間にか私とスイカの周りにはセーラー服の人だかりが出来ていて、すすり泣く声、笑い声、罵詈雑言、何やかんや大騒ぎになった。一人だけ全裸の私は少し恥ずかしかった。でも、気分は最高に爽快だった。何度も何度も唾を吐く。ネズミ色の背中に。
 頭が割れて脳みそっぽいものが出てきたころ、どこかの教室の先生がやってきて私を取り押さえた。私は笑うしかなかった。スイカは死んだみたいだ。ざまあみろ。
 その後私はやっと制服と下着を返してもらえた。手のひらに付いたチョークの粉と血液が混じってひどいことになっていた。お風呂に入りたい。お母さんに何て言おうかなあ、なんて考えていたら、涙と笑いとが止まらなかった。ドラマでもこんなのねーよ、って自分で自分を突っ込んだあとダッシュで大人の手を振り切って窓から飛び降りた。脱出成功。
 次のターゲットは、誰だろね?

 

(2009/1)
 

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無題
ネットのオリジナル小説を最後まで読み通したのはこれがはじめてです。
才能のある文章だと思いました。高校一年の美少女にハードSM+処女喪失で五万なんて安売りしすぎだし相場知らなさすぎ。よく読むと彼女は安売りしてるってわかってて皮肉ってるんですね。
またお暇なときにでも更新していただきたいです。楽しみにしてます。
骨川 2009/06/27(Sat)22:20:37 編集
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プロフィール
HN:
原発牛乳
年齢:
39
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女性
誕生日:
1984/09/21
職業:
自由人
趣味:
眠ること
自己紹介:

ただのメモです。


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